ENGAGE ENGAGE ENGAGE ENGAGE ENGAGE ENGAGE ENGAGE

COLUMN

COLUMN

COLUMN

『CEDEC AWARDS 2019』サウンド部門 最優秀賞受賞

2019年9月5日に行われた『CEDEC AWARDS 2019』にて、エースコンバット7:スカイズ・アンノウンのサウンドを手掛けたバンダイナムコスタジオサウンドチームが最優秀賞を受賞しました。受賞を記念して、プロデューサーの下元が、本作のサウンドへのこだわりを、サウンドチームのメンバーにインタビューしました。


全員の力が結集しての受賞

下元:ということで、改めてサウンドチームのみなさん最優秀賞の受賞おめでとうございます。

サウンドチームの一同:ありがとうございます。

下元:身内同士でインタビューするというのも不思議な感覚ですが、今日はこの形式で根掘り葉掘り皆さんに伺いたいと思います。
早速ですけど、本作のサウンドを指揮した渡辺さん、まず受賞のご感想をお願いします。また本作って全体でどれぐらいの方がサウンドに携わってますか?

渡辺:はい。本作のサウンドディレクターを担当した渡辺です。
「コンピュータエンターテインメント開発の進歩へ顕著な功績のあった技術および開発者」という内容で受賞できたことが本当に嬉しかったですし、長期にわたる開発の疲れも吹き飛びました。CEDEC2019で講演もさせていただいたんですけど、そこではエースコンバットサウンド開発に関わる技術的なお話を主に業界人や学生の方に向けてさせていただきました。その話をする際に、スタッフロールでサウンド関係者を数えてみた所、社内のサウンドスタッフは16名くらい、社外含めてサウンドだけで150人くらいの方達がいて、その人たち全員の力が結集されてこういう受賞に繋がったのかなと考えています。

下元:凄い規模ですね。関わっていただいた全ての方に改めて感謝しております。ちなみに、バンダイナムコスタジオのサウンドチームの中からエースコンバットに関わられてる方ってどうやって担当が決まるんですか?

渡辺:どうでしょう(笑)北谷くんは?

北谷:僕ですか?そうですね、3年ほど前から関わり始めたんですが、当時はまだ会社に入って歴の浅い頃で「君は何かやりたいプロジェクトはないのか」って聞かれた時に「エースコンバットの曲かきたいです!」って言ったら気が付けばこのプロジェクトにがっつり引き込まれてたっていう経緯ですね。こんな感じでいいんですかね?(笑)

下元:やりたいといえば参加できるんですね(笑)意思が大事ってことで良いでしょうか?

渡辺:そういうのはすごく大事です。参加したいっていう気持ちはすごく組み取ってくれるチームかなと思いますし、僕は(北谷くんが参加してもらえるように)狙ってました。

北谷:狙われてたんですね(笑)。

金子:サウンドは大体やりたいって言えばやらせてくれるよね。

下元:関わる方が増えていく中で、エースコンバットらしさってどうやって足並みを揃えていくんですか?

渡辺:これはまず楽曲に関して…音楽にどうやって統一感を持たせるか悩んでいた所、小林さんより「パイロットの心情を描いてください」というシンプルながらも力強いアドバイスをいただけた事があって。そこは一つベクトルを揃えて皆取り組んだ所だと思います。テイストに関しては、今回小林さんはメインモチーフを活かして様々なアレンジをしながら盛り上げていく手法を貫いていて、逆に内製のコンポーザーは、その間を埋めていくようなバラエティに富み、安心して聴けるエースサウンドを提供していったイメージが強いです。作っている最中にお互いの曲を聴けるような状況にしているのも一つ大きいかもしれません。
各コンポーザーは、きっと「これがエースコンバットだ、これが一番でしょ!」って思ってる音楽をそのままアウトプットしている…なんでしょう、それぞれが心に描く「エースコンバットらしさ」に基づいて作ってると思います。。

下元:それって皆さんの中でエースコンバット「らしさ」が統一できてないと難しいような。。

北谷:自分以外のコンポーザーは、エースコンバット歴代のシリーズから参加している方々なので、その人達が作る音楽自体がエースコンバットらしいBGM、になってるところもありますよね。

中西:うまいこというねえ。

皆:(笑)

渡辺:最初は楽器を揃えたりとかもしてたんですけども、やっぱり皆好きな楽器を使いながらどんどんはみ出して行くんですけれども…そこで過去のアルバムとか…作品の4、5、6、0とかサウンドトラックを聞いても統一感があるようでいてほんとにバラエティに富んでいましたね。コンポーザーもいろいろな方が参加されていますし、ジャンルも多岐にわたっているなあっていうのが自分の印象ですね。

インタラクティブミュージックについて

下元:今回オーディオミドルウェアにAudiokinetic社のWwiseを導入することで開発が大きく変化したという話ですけど、詳しく教えていただけますか。

渡辺:Wwiseはプロジェクト初期に中西さんが導入を決められたんですよね。

中西:そうですね、先にさまざまな音の鳴らし方を実験してみました。おぜん立てとして過去のエースシリーズで培った仕組みをベースに新しく進化させたい仕組みをある程度仮組してみました。これでいけるなっていう所まで検証した上であとは任せたぜっていう感じで渡辺さんに渡しました。

渡辺:このミドルウェアを使うことによって、今までプログラマーに依頼をしながら音量調節したり音を鳴らす場所を決めたりっていう所だったのが、サウンドデザイナー側で色んな仕込みを入れられるようになったんですね。そこですごく自由度が増えて…仕事量もめちゃくちゃ増えてるんですけど(笑)ただそれでよりたくさんの演出が出来るようになりました。大きくは、インタラクティブミュージックだったり、それから効果音をゲーム中の色んなパラメーターや挙動に合わせてリアルタイムに制御したりっていうところを一連で出来るようになって…その仕組みを使って色々演出していったっていうのが大きなメリットかもしれないですね。

下元:インタラクティブなサウンド演出について、初めて知る方も多いと思うのでもう少し詳しくお聞きしたいです。

渡辺:はい。まずインタラクティブミュージックですが、音楽をゲームプレイヤーの状況やゲームの進行に合わせて遷移させていく手法になります。

下元:ゲームの一番盛り上がるタイミングで曲の一番盛り上がるところが来るようにタイミングを調整されてるってことでしたよね。

渡辺:そうですね。で、もう一つはインタラクティブサウンドですね。それこそ戦場で100km四方の大空間で戦闘しており、敵機がいて味方機がいていたるところで爆発があるんですけど、それらのすべての距離感ごとの鳴らし分けや、どの範囲で音が鳴るべきかなど細かく制御しています。

中西:近くなったら近くなりの爆発音が鳴って、遠くだったら遠く用の爆発音がなってみたいなことを再現するためにデータとプログラムを連携させているんです。

下元:その仕組みでVRも、よりリアルな音が提供出来るようになったと。VRモードでは作り方も違ってくるのではないでしょうか?

渡辺:そうですね、最初VRモードでのサウンドの移植っていうのは、「ひと月あれば出来るでしょ」ってプロジェクト内では言われてたんですけど、自分もちゃんとVRのエースコンバットがどんなものか理解してなかったので、「出来るかもしれません。キャンペーンを移植してそのまま出来るんじゃないんですか?」みたいな話になってたんですけど、一回VRのゴーグル被って発艦のところやってみたら、当然そこにはキャンペーンの音が鳴ってるんですけど、それが非常にしょんぼりな残念な聞こえ方になっていて…これはほんとにテコ入れというか新しく作り直すくらいの気持ちが必要だなってところで実際にデータを詰めていきました。実際にかなり時間もかかりました。キャンペーンとの違いなんですけども、VRモード作るにあたってコックピットから見える光景だったり音だったりがどう聞こえてるのかっていうのは、ほんとに半年くらいかけて…DVD見たりYouTube見たり色々研究はしたんですけれども、その中で結論としては、パイロットの人ってほんとに孤独だし一人で戦っていて…それでいてもう当たったら死んじゃうっていう…その恐怖、その孤独と恐怖の中で無線の必要な情報だったりとか、アラートの音だったりとか、そこを頼りに飛んでいると。そこを強調するような…「リアル寄り」っていうと伝わりやすいかもしれないんですけど、本当の戦闘機のパイロットが聞いてるような音ってどんなんだろう?っていうところをより洗練させていった方がVRの方ですね。具体的には外界の音が遮蔽されて聞こえたりとか、無線がキャンペーンよりも3倍以上の音量で聞こえてきたりだとか、音楽に至っては最初鳴らさないという…。よりリアルに考えると音楽なんて聞いてるはずないし聞こえてるはずないから、「曲を鳴らさない」ってことに決めたんですけれども、でもやっぱり音楽なしだとエースコンバットじゃなくなっちゃうっていうのが色んな人の意見でありました。VRモードにもストーリーはあったので、そこを盛り上げていくためにやはり音楽の力を借りるっていう判断をしましたね。

下元:ありがとうございます。ちなみにちょっと余談なんですけども、「音がこもるシステム」はどなたの発明なんですか?

渡辺:このシステムは僕が。雲に入った時のインタラクションって今回とても重視されてたじゃないですか。で、音も何かできないかなって思ってたんですけれども。普段僕がクラブでDJプレイする際にフィルターっていう処理で音の低音を切ったりとか高音を切ったりっていうのをよくやるんですけれども、そのこもった感じとか音楽の情報が削ぎ落とされている感じとかっていうのを、雲に入った際に仕込んでみたんです。最初はすごい河野さん(エースコンバットシリーズ ブランドディレクター)にも反対されて(笑)。

下元:でもあれですごい雲に入ったな、っていう感じがメッセージとしてプレイヤーに伝わってるので僕はすごい発明だったんじゃないかなって思ってます。僕は採用すべきだって強く推しましたよ(笑)。

渡辺:よかったです(笑)。

下元:河野さんは色々と言ってましたけど。。。でも最終的には河野さんもやって良かったねって今は言ってますよ(笑)。

800小節の曲

下元:インタラクティブミュージック周りで他に拘ったポイントはどこでしょうか。

渡辺:ミッション19のバリアのところっていうのは上手くいった所かもしれないです。開発していて、お客さんのプレイする時間がかなりまちまちだっていうことが分かってきたんですね。それでも、バリアを割った瞬間にサビにするっていうのは出来ないか?っていう糸見さん(ナラティヴディレクター)からの打診があって…それを組んでいった形ですね。

下元:あの場面に行くまでに曲がループしてるんですよね?

渡辺:そうです。ループし続ける踊り場を何か所か設けていて、そこで留まりながらループをして…で、フラグが立ったら遷移していく形ですね。

中西:これは遊んでる人に気づかれないようにやってるからこそいいものなのです。ほんとは種明かしをするものではないんですけど、何回も遊んでくれるともしかして気づいてくれる人がいるかもしれないですね。それでもわからないのがむしろ勝ちなんですけど。

渡辺:やっぱりシリーズの流れもあったので、いきなりインタラクティブミュージックをあざとく使うんではなくて、自然にそのシリーズのお客さんが音楽をより感動してもらえるっていうことを目的に使っている形ですね。

下元:演出の打ち合わせで何気なく「ここで必ず一番曲が盛り上がるところを鳴らしてほしい」って気軽に言ってましたけど、裏ではいろんな技術を使って実現してるんだなって…。

渡辺:いや~仕込みをするのは大変だよね北谷くん(笑)。

北谷:大変です(笑)

中西:表に出てくるのは最終的にミックスされたものなんですけど……裏では複数のオーディオトラックが同時に走っていて、皆さんが気づかないようにスムーズに切り替えています。ジャンプするのも仕込んでますね、条件によって飛び先がかわるっていう…。

金子:なんかAメロBメロサビでうまく説明できないのかな?最初の5体倒すまではずっとAメロで、中ボスでたらBメロで…みたいな。ABがすごく自然にループしてないように聞かせたりとかっていうことだよね。

下元:ゲーム進行速度がプレイヤーさんによってかなり違うからってことですよね。

金子:プレイの上手さに関係なく気持ちよくなってもらえる。

渡辺:遷移する仕掛けとしては、気持ちよく気付かれないように鳴ってもらう部分っていうのをあらかじめ作っておく必要があるんです。小林さんの曲「Daredevil」の演奏場面に立ち会ったんですけど、演奏家の方たちが「ここは私たち何を演奏してるんですか?」っていうすごくキョトンとした顔しながら、曲になってないようなパーツパーツをそれぞれ演奏して、それを小林さんが指揮されて。一小節弾いただけで「はいOKです」っていうのを(笑)ずっと続けていきながら。そのプラモデルみたいにバラした楽曲は、ほんとは一曲の楽曲なんですけど、それをWwiseを使ってリアルタイムにその場で組み立てていくっていうイメージですかね。

下元:小林さんと渡辺さんの中ではどう繋ぐかがわかってて演奏される方に指示を出す。でも演奏されてる方はそれが分からないから謎のパーツをひたすら演奏されていると。

渡辺:最終設計がわからないので…。

下元:それが組みあがったら素晴らしい楽曲になるのは驚きです。

中西:だって北谷くんの曲なんかもっとすごい細かいやつでしょ。

渡辺:いや~DLCではすごいパワーアップしてることをやってくれて。

北谷:本編より細かいのを作りましたね…。

中西:え、1曲のために何ファイル分必要?かなりあるよね?

北谷:ちょっと数えてみないと分からないくらい・・・100近くいくんじゃないかと?

中西:ですよね。1曲なのに100近いバラパーツに分けるんですよ。

下元:1曲を100のパーツに…ちなみにそれはDLC4のバトル中の曲でしょうか?

北谷:そうです。DLC4のミッションBGMで、途中そのままIGC(インゲームシネマ)に映像が切り替わるところがあるんですが、その切り替わりに音楽の盛り上がりが丁度合うように仕込みました。ユーザーのプレイングによってIGCまでの時間は変わるので、通常だと映像とBGMは合わないです。そこで100近くのパーツを用意することでピッタリのタイミングでBGMが遷移する仕組み作りました。本当に細かいところだと音楽における8分音符単位で区切っています。…ずいぶん壮大なもの(物量的な意味で)を組んじゃいましたね…。

皆:すごいな…(笑)

渡辺:演奏する人たちが…(笑)

北谷:そうですね、その楽曲もストリングスを録音したんですけど、800小節くらいいきましたね。

渡辺:そのプラモのパーツを譜面に乗せた結果、800小節の曲になってたっていう(笑)。こんな長い曲は今まで弾いたことがないって言ってましたね(笑)

北谷:すいませんって思いながら録ってました…(笑)。結果的にめちゃめちゃいい感じに遷移するように仕込めた…まあ大変でしたけど…やる価値はあったのかと。

下元:レイジとスクリームが出てくるIGCのとこですよね。あれにピッタリ合うように。何回遊んでもズレないっていう。

渡辺:最後の追撃のシーンありますよね。あそこの爆発、やっつけた後もインタラクティブになってるのって気付かれました?

下元:え!そうなの!?

渡辺:あそこもすごい緻密に作られていて、ラファールが飛び立って追っかけて最後倒したときに遷移するんですけど、曲がどの状況でも…。

北谷:そうですね、どの状況で敵を撃墜しても、最後は「ラタタタタタタッ…ジャーン!」ってアウトロに遷移するっていう風にして…。

下元:自分が曲にあわせて上手く撃墜したと思ってた(笑)カッコよく決まったぜって(笑)

皆:笑

渡辺:それこそ狙ってたとこなんじゃないの(笑)

金子:これでも話さない方がよかったんじゃないの?(笑)上手いんだって思わせといたほうがよかったかも。

中西:最高の成果なんじゃないですかね、それがね。

北谷:さりげないけど効果的に演出できたのかなと思います。

下元:エースパイロット気分に気持ち良くなれる。それこそがエースコンバットです!

独自システムの構築

下元:ちなみに今回のチャレンジ的な部分で、先ほどの話とは別で独自のシステムも構築されていますが、その辺を教えていただきたいです。

中西:今回Wwiseを導入したわけなんですけれも、標準の機能だけでなく、オリジナルでいくつかのプラグインを開発しています。 バンダイナムコスタジオにはオーディオプログラマーが何人もいてその人たちに協力してもらって・・・例えば無線エフェクトだったりとかは社内で開発しました。
またゲームのインタラクティブサウンドは、過去エースコンバットシリーズでずっとやってきたところをより洗練させてきました。基本的な仕組みはエースコンバット3とか4くらいで固まったのかな。それを秘伝のタレ的にアップデートしてより洗練させてきました。仕組みだけでなく、中身の音そのものもアップデートしているのですごくいい表現が出来ていったんじゃないかなーと思ってます。

下元:ありがとうございます。ちなみにフライバイ制御っていうのはどういった内容なんですか?

渡辺:フライバイ音ですね。すれ違ったりする時に「・・・シュファアアアオォォー・・・」っていう。

下元:あれを鳴らすシステム?

渡辺:そうですね。どの入射角で入ってきたかとか、オーバーテイクなのか、ヘッドオンなのか、その速度とか、どの種類の機体なのか、それを判定して予測して鳴らし始めるんですよね。

中西:自動発音するシステムですね。あらかじめ鳴るタイミングとか最接近するピークがわかってるわけじゃないものなので、プログラムの判定で「あと3秒で最接近して通り過ぎる」といった予測をします。予測で鳴らし始めるのですが、その先にどう動くかも決まってないものなので、鳴らした後も常に動きに対して鳴らし方を補正し続けています。

下元:めちゃめちゃすごいことやってる。
これが入ることによって近距離で自機と他の戦闘機とがすれ違う時のリアルさが出てると思うんですけど。もう少し詳しく聞きたいんですけど、自機に対して正面・後方・左右の4つのエリアで判定しているのは、ドップラー効果を再現するためでしょうか?

中西:そうですね、ドップラー効果は相対速度の違いで音が変わります。今回は4つの方位エリアとさらに4つの距離で判定をやってます。順当にいけばこういう音になるけど、もし途中で動きが敵とか自分の動きが変わったらこういう風に変化しちゃうなっていうズレが出てくるので、それを最小限に抑えられるように、そして思ってないような動きをしたときに変な音にならないように工夫しています。

渡辺:ゆったりした飛行機がサークルの一番円心の外側だったらもう「フアアー(音真似)」って長いフライパス音鳴らし始めるんですけど、それでちょうどプレイヤーに最接近したときに音量が一番大きくなるような音を割り当てます。ものすごいマッハな速度で正面から突っ込んできたときは一番超近距離のテーブルからフライバイを選んで「パーン(音真似)」って

中西:「シュオーー(音真似)」

下元:流石サウンドチーム、擬音語だらけ(笑)当たり前のように思ってたシステムも構造を知ると、すごい技術だったんですね。

金子:ツールでこだわる時間を増やす……無線エフェクトプラグインとかマキシマイザーツールで人間がやらなくてもいい作業を全部機械がきれいにまとめてくれる…。そういう無駄な時間を減らしてくれるから音楽作る時間が増えたり、クオリティ上げるものに時間を割けたりするのです。そのようなツールを作ってくれてるっていうことですよね。中西さんは。

中西:今まで無線の背景音の合成とか無線のエフェクト加工っていうのは全部先にファイル単位でやってたんですよね。今回はそれをやらなくて済んでいます。背景の音も全部バラバラで持っていって、無線のエフェクトの加工もリアルタイムにやってるんで、中に入れてる音声データっていうのはほぼ録りっぱなし音声くらいの感じでいけるっていう。かなり効率が良くなったのかな。

渡辺:なってますね。今回4万ボイス超えてますね。

中西:多言語も含めてですね。なので必ずやるべきソリューションだと思っていました。

下元:ちなみにそういうシステムを考えられるのは中西さんのご担当なんですか?

中西:そうですね。テクニカルサウンドデザイナーとして今回は関わってます。まあ今までのシリーズもずっとそれやってきた感じですけど。

下元:じゃああのファンミーティングで猛威を振るったエンジンサウンドも…。

渡辺:Boom Libraryさん(以下、ブームさん)との共同…

中西:あ~はいそうです。

エンジンサウンド

金子:ジェットエンジンのサウンドは中西さんが窓口でブームさんとやり取りしてたんですけど、カットシーンは僕が窓口でやってた、って感じです。

渡辺:一番最初ってどんな流れだったんですか?

中西:サウンドメンバーのひとりがブームさんと繋がりがあったのですが、ブームさんの方からジェット音のシンセイサイズを開発中しているのでエースコンバット作ってるチームの方になんかつなげられないかなっていうことで、自分のところに話が来ました。「なんかそれ面白そうですね、サンプル聞かせてください」ってお願いしたら「あ、なんかいけそうだな」っていう音が来たんで急いで追加予算確保に走りました(笑)

下元:アサルト・ホライゾンの時って実機収録したじゃないですか。今回このサウンドエンジンによってお客さんに喜んでももらえると考えたのはどういったところだったんでしょう?

中西:実機の収録はもちろん使います。でも本物の音を録るっていうのはそんな気軽に録れるものじゃいのと、録れるもの録れないものがあるわけです。本物の音もどういう制御をしたときの音なのかを良くわからないけど録らせてもらってる状態でした。でもシミュレーションでやってる限りそれを全部コントロール出来るんですよね、エンジンの出力とか距離感とか。なのでそういう…今までだと例えばエンジンが唸る音とかっていうのはたまたまレコーディングできた時もあったのですけれど、ゲームの音には実は反映されてなかったんです。シミュレーションのおかげで「あの音はこの制御だったのか」とわかったので、過去の収録データも含みそれらが正しく使えるようになってきました。今回はそういったこだわりも7の中には詰め込めて…より実機に近い音っていうのが表現出来たのかなっていうのは思ってます。

金子:あと録音だとエンジンの出力が50%くらいまでしか録れないんですよ。あんまり上げられないんですよ。

中西:そうそう、空飛んじゃうわけじゃないから(笑)飛ぶとマイクで追っかけられないし。

皆:(笑)

金子:なのでそっから先は、50%の音から100%の音をシミュレーションして作るっていうのは今までも変わらないというか…。

下元:今までって、その録れる音って限りがあると思うので、録れてない機体とかって、想像で作られるわけですよね?

中西:そうですね。実は、まずエンジンのタイプとか全部調べて、どこのメーカーのエンジンで構造が少しここが違う、みたいなことを追いかけて…。

下元:エンジン構造って、、、狂気の世界(笑)

中西:似た構造のエンジンを参考にしつつ、まったく当てずっぽうじゃない想像で作っています。

下元:それが今回シミュレーターを導入したことによって、より音の正確な再現が出来るようになったと。

中西:そうですね。シミュレーターで作った音を聞いて…最初はある意味疑いつつYouTubeで本物の資料探して検証してました。自分が体験したことのある戦闘機の音も、過去にレコーディングしたやつとかも確かめて「あっこれ大丈夫だ」って思ったのです。

金子:すごかったですよね。

渡辺:はい、狂気を感じました(笑)共振のポイントとかもエンジンの会社によって「このスロットルの時に共振が起きる」みたいなのも再現されてて。

中西:あれがいいんだよね。

下元:ファンミーティングのエンジン音当てクイズはマニアックすぎましたね…

中西:あ~ちょっとマニアックすぎた…(笑)

金子:まったく当たらない(笑)

下元:実際にファンミーティングの時の爆音上映環境で、共振の時に音が変わるってのを実感できましたよね。素晴らしい仕組みが構築できたんだと思います。

中西:今後も使えるいい仕組みが出来ましたね。

下元:ACE COMBATはすべての戦闘機において、実際のその戦闘機を製造しているメーカーに監修を提出しているのですが、実は音に関しては、各メーカーからは一度も指摘を受けてないんですね。すべて一発合格っていう。

中西:指摘してくれたら取材しに行きたいなあ~指摘してくれないかなあ~(笑)

下元:逆に不合格希望?(笑)

渡辺:「え、どこが違うんですか?」って(笑)

下元:それは録る必要あるなあ~、ロシア行かなきゃって、、いやいや僕が困ります(笑)いつも一発合格なのでほんと素晴らしいです。

中西:今度逆に一回くらいミスって…こっそり違う音を(笑)

渡辺:一番行きたい国のやつで(笑)

中西:それでいきましょう(笑)

幕間のサウンド

下元:ほかにブームさんとの共同の取り組みはありますか?

渡辺:カットシーン映像がスケジュール的に難しい感じになってきて。じゃあこのMAどうしようか?ってなったときに金子さんに相談したんです。

金子:幕間CGムービーのところは自分でMAやってたんですけど、他のカットシーンはなかなか出来上がってこなかったんです。僕もかなり忙しいときにきたんで「これはマズイ…」って。でもブームさんは世界で指折りの効果音作る会社だったんで、これはいい機会だって。

中西:ちょうど(ブームさんと)繋がりもできたからね。

金子:僕そこのマイケルが作る音がとにかく好きで。マイケルに仕事頼んだら無人機の音とかもほんとカッコいいの作ってくれるって信じてたんで、渡辺に「ちょっとお金だけ用意してくれ」って(笑)

下元:マイケルさんっていうのは、Boom Libraryさんに所属されるサウンドデザイナーの方ですね。

渡辺:ブームさんがMAもやってらっしゃるっていうのは金子さんはいつからご存じだったんですか?

金子:ブームさんのサウンドデザイナーは海外AAAタイトルの音を手掛けていたことは知ってたし、なんならエースコンバットの途中にバトルフィールドとかもやってて「いつか頼みたい」って思ってた所に、今回最高のタイミングで話が来たんで。

中西:向こうは戦闘機の音も作ってますし、ついでに爆発音もどうですかっていうね。

渡辺:インゲームのカットシーンはほとんどマイケルさんですね。

金子:無人機の音もこっちで「こんな風につくってほしい」っていうのだけディレクションしてマイケルに作ってもらっいました。でもね菅野さん(アートディレクター)がすごい設定へのこだわりがあって。

渡辺:菅野さん(アートディレクター)と金子さんのやり取りが熱いんですよ。このエンジンって何で出来てます?っていうところを(笑)

金子:無人機って何体か出てきて…まあ中西さんもそうですけど何の仕組みで動いてるか分からないと音作れないんで、何の機構で動いてるんですか?みたいなのを普通にやり取りで送ってると、菅野さん(アートディレクター)が「これはパルスジェットエンジンっていってね…」って(笑)YouTubeのリンクとかめっちゃ送ってきてくれて(笑)「あ~そういう音なんですね」ってみたいな。で、「あのちっちゃい無人機とかは二気筒のバイクみたいなちょっと昔のベベンベンみたいな感じの音がいいんだよ」って話をして試作をいっぱい繰り返して…。一旦俺と渡辺で作ったもんね、こんな感じにしようねって。それをブームさんに送って「もうちょっとかっこよくして」みたいな感じでやってたらほんとすごいのが返ってくるっていう…。

下元:架空機のエンジンの設定まで考慮する拘りが、お客様に喜ばれているストレンジリアルの世界感なんだと思います。

金子:エンジンの設定っていうのはそうですね、アリコーンも聞きましたね。

下元:DLCに登場する原潜のアリコーンですね。

金子:菅野さん(アートディレクター)に聞くと、「こっちは夛湖さん(VRモードディレクター兼DLCディレクター)の方が詳しいから…」って、今度は夛湖さんがすごい割り込んできてくれて、夛湖さんがすっごいめくらないと読み切れない長い文章を送ってきてくれる(笑)作りやすいな~って。

中西:そうそう、設定がわかればね、想像がつくよね。

金子:こういう時はこういう音がするはずだ、ハッチが開くときに内部で水が動くはずだとか、そういうこと色々教えてくれるんですよね。

下元:すごい…。

金子:すごいです半端ないです。

中西:見えない部分も想像しないと音作りはできないんだよね。

渡辺:あとカットシーンのMAはこの場所(サウンドスタジオ)で最終ミックスをしたんですけど、吉﨑響監督がめちゃくちゃ音にこだわりのある方で、すごく金子さんとたくさん話し合いながら…(笑)で当日最終ミックスの時に吉﨑さんからここをこうしてほしいって注文がついて、金子さんが後ろのフォーリースタジオでその場で録音して足りない音を作って直すっていう…。

金子:なんだっけ、歩き方の音がちょっと気に入らないみたいな。最後ハッチ歩いてエイブリルがスクラップクイーンの…あんときの自分視点の歩く足音が「ちょっと…感じが違う」みたいになって、じゃあちょっと何種類か歩きますって録って…みたいなのはやってました。

下元:吉﨑監督とそんなやりとりがあったんですね。

金子:あれ楽しかったよね(笑)。

中西:外でやるとそこまでやれない時も多いんじゃないかな。

子:中だとね、すぐ直せるんで。

無線音声のこだわり

下元:エースコンバットといえば無線ということで、無線についても教えてください。

工藤:この会社に入社してしばらくしたあたりに渡辺さんが…4万個の音声ファイルをボンって僕に渡してきて、「いい感じにしといて~」って言われまして。どうしようかなと考えて、無線音声としての統一感を出しつつ効率的に処理ができるワークフローを作りました。
そしたら何が良かったかっていうと、エースコンバットって無線の内容をとても重視するシリーズなので、鬼頭さん(無線スクリプトライター)中心の無線班から毎日のように新しい音声が送られてくるんですね。それをサウンド班は毎日処理することになるので、ミスを防ぐ意味でもとても効果がありました。

下元:具体的に処理っていうのは「無線の音に変えている」ということですか?

工藤:いえ、これはその前段階で録った音をゲームに入れるために必要な加工のことですね。

渡辺:整える、整音作業っていうのがあって。不要な音域やノイズを切ったりだとか。

工藤:そうですね、一言で言えば「聞こえやすくする」作業なのですが、音量をそろえたりとか様々な処理をしています。

下元:…4万個を…気の遠くなる…(笑)

渡辺:入社半年くらいでぶち込まれた(笑)

工藤:新人研修明けくらいですね。

渡辺:新人研修明けくらいだったんですけど、音声渡して、そのワークフローを含めて、バッチ処理とか色々彼が作ってくれて、どんどんそこをさらに効率化するような仕組みを作ってくれたんですよね。

北谷:プログラマーばりのバッチとかを組んで(笑)すごいなと思ってみてました。

下元:自動化しないと出来る量じゃないですよね。

中西:自動化大好き(笑)

工藤:僕がその作ったパッチを走らせるともう…中西さんがその後ろを満面の笑みで通りすぎて行くんですよ(笑)。

中西:うむうむ、自動化が働いているって(笑)

渡辺:無線の背景音もね…

工藤:さっき話がでた無線っぽく音を変える加工ですが、無線の音色にする加工と背景音の2つを組み合わせてできてます。僕の方では…無線の音色をDLCも含めて約35種類の加工タイプを作りました。背景音はその倍くらいの種類があったと思います。それを一個一個作るにあたって実際のゲームを何回もプレイして、無線で話してる人がどういう状況なのかを理解して、じゃあその背景ではどんな音がするんだろう?っていうのを考えてました。

渡辺:無線加工は最終段で…先ほどの無線プラグインがかかっちゃうんですけども、その後ろで起きている王女が斧を振ったりだとか、いろんな出来事をラジオドラマばりに作りこんでいるんですね。それを後ろに重ね合わせて鳴らしたりだとか、それから敵のコックピットの中の背景音はどうなってるのかっていうのをそれぞれ用意するんですけど…ここですごい面白いなあと思ってるのが、歴代…ただ単にその空気の音を用意するだけじゃなくて、敵を感じさせるような…すごく難しいんですけど(笑)なんか敵っぽい環境音だとか悪そうな環境音だとか…。

中西:すごい抽象的だなあ~。

渡辺:抽象的なんですよ、無線の加工タイプもそうで。悪そうにしゃべっているように聞こえる音だとか、これは味方っぽく聞こえるねっていうのを…まあ我々の感覚になっちゃうんですけど、そういう色付けを意識しながら用意しているって感じですね。

下元:理屈じゃない感覚の世界ですね。

工藤:最初のうち…確かミハイとかの悪役の音声を悪くしすぎてNGをもらった記憶があります。

中西:音色としてはかっこいい無線なんだけど、やっぱりもうちょっと本人感を残して聞かせてあげたいっていうね。

下元:地上とコックピット、敵と味方、AWACSや王女って確かに違いますね。

中西:その背景音は仕様書にはないからね。勝手に想像して。銃撃戦やってそうだったらその背景音を作ったりするんですよ。

下元:そういう細かい鳴らし分けをいくつも…。

金子:近くにいる味方の音はクリアめで、遠い敵とかは汚い音とか。

工藤:そうですね。細かいところだとコゼット王女の斧を振る音なんかも、5~6回振ってるのを全部一個一個別々に作ってます。

ダウンロードコンテンツについて

下元:ダウンロードコンテンツとして配信中のSPミッションのブリーフィングはキャラクター同士の掛け合い、会話で進む新しい取り組みでしたよね。

渡辺:そこは船田くん(サウンドデザイナー)が頑張ってくれたパートで、まるまるブリーフィングを非常に緻密な効果付けでやってくれたんですけども。DLCからですよね、サラウンドで是非聞いていただきたいんですけれども、ブリーフィングを実際のプレイヤー=トリガーがみんなに囲まれて受けてるような気持ちが味わえるような音の定位感だったりっていうのも、こだわって作ったところですね。

下元:幕間映像はどうでしょうか。

渡辺:映像のクオリティにみんな触発されて、この動画素敵だねって皆なって、その思いを持って取り組んで…素晴らしくカッコいい映像だと思います。

金子:制作されたフラッパー3さん良い仕事してます。めちゃ感動しました…デイビットがパソコンの前で動いてる…影も入ってるじゃないですか、あれとかすげえみんな感動して、じゃあやっぱ服ズレる音とか、椅子がちょっとギシッてやる音とかこれ入れなきゃいけないねって。

渡辺:なにこのディテール!って思いましたね。

下元:この話いいですね。

金子:あれすげえフラッパーやべえなって思いました。クライアント殺しだよって(笑)。どんだけ仕事させる気や~って。あれはフラッパーさんすごかった。

下元:あとお聞きしたいのは…工藤さんのエースコンバットシリーズ初参加の立場からみた先輩達の変態性とか…。

皆:笑

下元:この人はちょっと…狂ってる!みたいな。

工藤:今までの話でだいぶ十分な感じは…(笑)

工藤:(笑)変態性…そうですね制作にあたって面白かったのが、「ここはこうこうこういうものだよ」って狭めて発注が来るわけではなくて、とりあえず絵を渡していただいて「ちょっと自分で考えてみてね」って音を作るように言われるんですね。で、自分で考えつつ、「これが正解だ!」って返すと「ここはちょっとこの音が違うよ」って言われたりして、そういったやり取りを繰り返しながら制作していったのが印象的でした。

下元:いい組織だって話ですね(笑)

金子:コレでも上手く言ったよね(笑)じょうずに言ったね(笑)

皆:笑

金子:「とりあえずいい感じにやっといて!」って投げられたものにダメ出しされるってことでしょ(笑)ディレクションなしに(笑)

渡辺:ディレクションが雑だったってこと(笑)

金子:そこは紙一重だよね(笑)。なんか上手に言うねえ~ほんと。世渡り(笑)

工藤:僕エースコンバットやりたいって言ってこの会社に入ってきたので、以前はお客さん側でプレイしていたこともあって多分こんな感じだろうな、って想像がつきやすかったのも…それでやりきれたんじゃないかなと思います。

渡辺:一個弁解させていただいていいですか(笑)

皆:笑

渡辺:まさに彼が言うとおりの(笑)…アサインする時点でもうその人がどんな曲を作れる人かっていう情報はまず持っていて、その人の可能性とか爆発力も知った上でお願いをしています。で、「こんな曲にしてください」って例えばCD渡して、っていうのは簡単なんですけど…面白くない。その通りの曲があがってくる。そうやってどんどんどんどん狭まって窮屈になっていっちゃうんですけど、これ逆が絶対…今回の若い人達が曲を書くに当たっては絶対そっちの方が自分はいいって思ったんですね。なので、北谷くんにもDLC4の空戦の楽曲発注する時に…なんて言ったっけ?

北谷:トレーラーBGMに使えるくらいの、メインテーマばりのキャッチーな曲を書いてくれって言われました。それだけです(笑)

渡辺:一応ステージの資料とか渡しますけど…。

下元:でも実際そうなってますからね。すごい。

渡辺:そう、だからそれは彼なりの方法とビジョンで仕上げを…。だから熱量とか勢いとか、やりたいこと、っていうのを曲として込めてくってことが結果お客さんの心に届くものになるんじゃないかなって自分は考えです。

下元:めっちゃいいですよね、あの曲。大好きです。

渡辺:すごい評判いい。

下元:そうなんです。お客様の反応も凄いいいですよね。

北谷:
それと…DLC5の話も軽く…。今回DLC4-6の開発にあたって初めてBGM周りの実装を担当したんですが、インタラクティブミュージックには前々から興味があったため積極的に演出に盛り込んでいったら、気が付けばDLC4-6だけで本編のインタラクティブミュージックと同数くらいを実装してました(笑)。並行して曲も制作させて頂いたので、自分の曲はここぞとばかりにインタラクティブミュージックによる演出を盛り込んでいて、先ほどのDLC4だけではなく先日配信されたDLC5でもドラムの超絶プレイをフィーチャーしたインタラクティブミュージックを制作・実装しました。

渡辺:すごいよねあれ、叩いた人…。最初非常にテクニカルなドラムをフィーチャーした曲を作ってくれって河野さん糸見さん(ナラティヴディレクター)から預かって、それで探したんだよね。

北谷:そうですね、それでリョウさんが「絶対この人だ!」って人がいて、前田さんという方が…

渡辺:前田遊野さんという凄いドラマーの方なんですけど…どうしても演奏いただきたくて突撃したんだよね。突撃したらなんと彼はエースコンバットのシリーズファンで、もう機銃クリアなんのその、特殊兵装投下クリアなんのその。…をやってらっしゃる方でもう「やりますやります!」って一つ返事をいただく事ができて。

北谷:エースコンバットにめちゃめちゃ熱量ある方だったので、これは是非とも演奏して頂きたいって気持ちがありました。じゃあもうドラムをフィーチャーした曲にしようと思ってたら、ゲーム中のミミック部隊の強烈なキャラクターに激しいドラムの乱れうちがすごく合うことに気づいて…。ゲーム中の彼らの心情の変化や、スクリームとレイジのキャラクターの違い、それらをドラムのフレーズで表現しようと思い立ちました。その変化を表現するためにインタラクティブミュージックで演出しています。

渡辺:インタラクティブにあの姉弟をフィーチャーして組んでいて、どうインタラクティブに変わっていくかは…好評配信中のDLCを是非遊んでみてください(笑)。

下元:きれいな締め方です(笑)。

下元:ということで、最優秀賞の受賞ということで、この機会に身内同士ですが、エースコンバットのサウンドについて根掘り葉掘りと聞かせていただきました。サウンドチームの皆さん、長時間ありがとうございました。 そして、最後まで記事を読んでくださった皆さんも、ありがとうございました。
エースコンバットのサウンドへの拘りを感じていただけましたでしょうか。あらためてサウンドに意識を向けて遊んでいただけたらと思います。
では最後に渡辺さんから発売間近となったサウンドトラックについて、楽しみにしてる方へコメントをお願いします。

渡辺:DLCの曲も全部入りで6枚組、100曲オーバーとなっています。シリーズ歴代のコンポーザーの方たちの熱い楽曲も入ってますし、北谷くん、工藤くん、山内くん、宮城さん…新しいスタッフたちのそれぞれ瑞々しい素敵な楽曲、新しい風も入っていますので、是非是非聞いていただきたいです。

エースコンバット7 スカイズ・アンノウン オリジナルサウンドトラック

https://sweeprecord.com/srin-1162/

フライトシューティングゲーム
『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』オリジナルBGMを収録

先行販売 2019年12月23日
一般発売 2019年12月30日
予価 7,000円+税
品番 SRIN-1162
仕様(予定) 音楽CD6枚組/ブックレット/特製三方背ケース
収録タイトル エースコンバット7 スカイズ・アンノウン (PS4/XONE/PC)
コンポーザー Coming soon.